ネタバレ!漫画「ヒヤマケンタロウの妊娠」を読んで『人のせいにする』について考えさせられた話

ヒヤマケンタロウの妊娠

「ヒヤマケンタロウの妊娠」という漫画を読んでみた。

2013年という、だいぶ前の作品です。

※2019年8月、まさかの続編!読まねば…!

 

お試しで1話を読んだんですけど、それがすごく面白くて。

ざっくり言うと、タイトルにもなっていますが「男が妊娠する世界」の話。

 

BLみたいな展開に聞こえるけれど(笑)、真剣な話です。

「もし男が妊娠すると、世間は一体どんな目で見るのか?」

すごく人間の負の部分が生々しくて、妙にリアル。

といった、とても考えさせられるテーマでした。

 

 

今日は、この本を読んだ感想を語っていきます。

※(ネタバレあり)以降はネタバレあり。未読の方はご注意ください

 

◆◇◆ もくじ ◆◇◆

約6人の物語(あらすじ)

主人公は「妊夫(にんぷ))となる、桧山健太郎という男性です。

なのですが、他にもサブ主役はたくさん。

「1/10の確率で男性が妊娠する」という世界に生きる人たちの物語でもあります。

 

さらっと紹介すると、

1話の主役:桧山健太郎

32歳の独身男性。仕事人間で家庭を持たない主義。

そんな彼が妊娠を発覚して、一体どうなる!?といった物語。

 

2話の主役:川端みずき

彼女がいる男性との間に、子供ができてしまう。

結局彼は元の彼女の元にいってしまい、そんな自分が惨めで惨めで…?

 

3話の主役:高校生の恋人2人

男の方が妊娠してしまい、中絶。

家族とも彼女とも、気まずい空気になり…?

 

4話の主役:瀬戸亜季

桧山健太郎の子供の母親となる立場の女性。子供嫌いで、フリーランス。

突然、健太郎の妊娠をカミングアウトされて…?

 

5話の主役:宮地紀子

既婚者ですでに1人子供がいるのですが、2人目を旦那が妊娠してしまう。

しかしそれによって、夫婦仲がギスギスし始めて…?

 

(ややネタバレ)

6話の主役:桧山幸太郎

健太郎の息子が妊娠したという話…なんですけど、メインは健太郎です。

ついに子供を、健太郎が出産する話。

健太郎が「男が出産する生きづらい世の中を、何とかしよう!」と決意する。

 

ざっくりと説明するとこんな感じ。

このざっくりでも、気になるテーマが多いと思います。

 

アン
実際読んでみたら、こんなにもテーマが深い物語と思っていなかったのです

 

漫画の見どころ(ネタバレあり)

ここからは、完全にネタバレ有りでお気に入りのところを書いていきます。

 

みんな自分のことしか考えていない

この漫画は、人間の嫌な部分をつくづく見せつけられます(笑)

みんな本当に自分のことしか考えていない。

自分の常識とはかけ離れたことに対して、人間は冷たい。

 

アン
というか、相手の立場が想像できないんでしょうね

 

例えばこの漫画のテーマである「男性の妊娠」。

「男性が妊娠する」と言っても1/10の確率なので、あまりいないんですよね。

つまり少数派なので、細身なのにお腹が膨れてる男性がいると、笑いのネタになってしまうのです。

 

電車に乗るだけで、高校生に笑われて惨めな思いをするんですよ。

自分がもしこの立場だったら、電車にもう乗りたくないかも(汗)

会社でも「お母さんが男だなんて!」とか言われたりね。

アン
毎日こんな状態じゃ、正直きついですよこれ

 

しかし、健太郎は負けませんでした。

それを逆手に「ウムメン(産むメンズ)」としての立場を確立しようと。

これすごいです、かっこいいと思いましたよ。

アン
私だったら、「世間は何て冷たいんだ…」って高確率で凹む

 

その他大勢だけでなく、

この物語の主人公たちは「誰か・何か」のせいにしてることが多いのですよね。

  • 健太郎は、男が妊娠したことを非難する世間が悪い!
  • みずきは、結婚を決めてくれない彼が悪い!
  • 翼(高校生)は、誘ったときに断らなかった彼女が悪い!
  • 亜紀は、結婚しないやつを非難する社会が悪い!
  • 紀子は、自分勝手な旦那が悪い!

 

でもみんな、問題と向き合って、行動する(しかたなくも含め)。

アン
「●●が悪い!」と愚痴で終わらずに、問題を解決していく姿は、とても爽快感がありました

 

覚悟を決めて強くなる瞬間は美しい

2話の主役のみずきは、健太郎に対して

「いいわよね、男の妊娠は武器になって」

と八つ当たりします。

 

けど健太郎に「俺が武器にしたんだ」と言われてぽかんとしますが…

なんかイラッとする。

 

彼女のイラッとした気持ち、私はわかるんですよね。

自分のうじうじした態度に、腹が立ったんでしょうね。

「向こうは頑張ってるのに、私は愚痴ってるだけ…」みたいな。

ダメな自分の現実を目の当たりにできないって言うか。

 

しかしみずきは勢いとはいえ、会社で隠していた妊娠を告白。

「強く図々しくなりたい」と言ったシーンは、とてもかっこよかったです。

 

強くなるきっかけって、こんな感じなのかなって。

世の中、最初から「強くなろう!」ってなるんじゃなくて、勢いで「強くなってやる!」って事が多いのかもしれない。

 

今動かないと変わらない

高校生の男の子も、健太郎の言葉で変わりましたね。

「今、動かなければならないんだ!」というセリフ。

 

このままじゃダメと分かっていながらも、何も出来なかった。

しかし勇気を出して動いてみると…?

もう動いたからには、歩き続けるしかないんですよね。

 

言ったあとに「頑張る」ということが事が怖くて、言えなかったんだろうなって。

誰かの、何かのせいにして、楽になりたかったんだろうな。

 

アン
「言ったからにはもう後は引けない!」

って状況にしてしまうのが、1番の成功というものなのかもしれない

 

私なりに感じた「この漫画が伝えたかった事とは?」

「当事者になってみないと、何事も分からない」

ってことを、言いたかったんじゃないかな?って思いました。

 

つわりがひどいので会社を遅刻する、という電話で、

「甘えてるんじゃないの?」って言われてるシーンがあったんですよ。

しかし実際、妊夫の立場になった健太郎は「ゆっくりでいい」と声をかけるんですよね。

 

そこで健太郎は、

「自分も少し前までは、あいつと同じことを思ってた」

と気づくんですよ。

 

世界が広まる

だから結局、人間っていうのは、自分がそうなってみないとわからない。

甘えてる発言の男は妊娠したことがないので、自分の立場でしかわからないんですよ。

これには良くも悪くも、「人間」という生き物のかなしい性質。

 

言われた方は「あいつ、なんてひどいことを言うんだろう!」って感じると思うんです。

もうそれこそ、言ったやつを末代まで祟りたくなるほどに(笑)

 

けど、何度も言うけど言った人は、その人の辛さがわからないんですよ。

「自分は風邪を引いても会社に来たのに!」って文句を言っていましたし。

2話の主役の、みずきの八つ当たりみたいに、

「今辛いのでむしゃくしゃした!」という、感情の勢いの場合もあるでしょうね。

 

なので自分の例えでしか、物事を見れない。

(結局「甘えてる」発言の男も自分が妊娠して、最後には気持ちがわかる)

 

だから、上辺だけじゃなく、本当の意味で優しくなれる人って、

「苦労・大変な立場を経験している」からこそ、優しくなれるんじゃないかなって思いました。

視野が広い、とも言えますね。

アン
あと、後ろめたいことがあったら、急に優しくなったりとかね(笑)

 

人の成長

もう1つは、成長がテーマじゃないかなって。

少年漫画は「成長がテーマ」とはよく言いますけれど…

この漫画は女性向け漫画ですが、成長も含まれてるんじゃないかなって思いました。

 

環境が変わったことをきっかけに、考え方が変わったのですが…

「考え方を変えると、人生は変わる」

といった例を描いているんじゃないかなって。

 

アン
人間らしい心理描写が、とても興味深かったです

 

終わりに

1冊の読み切りなのでさっと読めるし、

とても考えさせられるテーマが満載で充実した時間を過ごせました。

こういった考えさせられる漫画って、いいですよね。

何かはっとした瞬間を得られるって、楽しい。

 

いい漫画に出会えたなと、感じたのでした。

 

 

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